実相報告書」を発表した。引き続き生活必需品の流通を適正化するために公定価格の引きあげが行われた。
 千八百円ベースは四・二人世帯の家族を基準としてすべてを公定価格で算出した数字である。現実に公定価格の配給食料で生命が保てるのは辛じて三分の一ヵ月である。しかも日常消耗品のすべては配給では間に合わない。せっけん、紙に至るまで。配給を円滑にするためとして行われた公定価格つり上げは、日常生活に大きい部分を占めているヤミ物価の上昇をもたらした。千八百円ベースというものがインフレーションの現実の中でどんなに非実際的な数字であるかということは一九四六年六月頃までの世界の生計費指数の統計をみても分る。

 世界生計費指数[#「世界生計費指数」はゴシック体](国際連合調)一九三九・一―六=一〇〇
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[#行項目名のタイトル]年月
[#列項目名は2段組、1段目]アメリカ イタリー 日本 フランス
[#列項目名2段目は1段目をそれぞれ2分割]綜合 食糧 綜合 食糧 綜合 食糧 綜合 食糧
[#1行目]一九三八年平均 一〇二 一〇三 一〇〇 一〇〇 一一一 一一一 …… 九三
[#2行目]一九四一年平均 一
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