゙の科学の歴史に一つの大きな輝きである。文化は人類の富ではないであろうか。商品以外の価値をもつものならば、それにふさわしい人類的処理が期待されてよいと信じる。
 文芸家協会や日本ペンクラブの活動は、今の日本の文学全体を推進させるために必しも有効に働いていない。戦争中、文学報国会として戦争協力した文芸家協会は、再出発後も理事会を目下エロティックな文学で活躍している数名の通俗作家によって独占されている。先般、森戸辰男の文部大臣賞の選を文芸家協会がひきうけるかどうかということについても、理事会は広汎な輿論に計らず、良心的な作家が辞任した。日本ペンクラブは国際的文化組織の中でふれているとおり、クラブ資金調達のための現代日本文学作品集から、中野重治、徳永直、宮本百合子の作品をオミットした。民主的な婦人作家佐多稲子は、「現代文学の紹介という点からあんまり不自然に思えるから」という理由によって、自身の作品の収録されることを留保した。

        2 映画・演劇

 日本映画 日本の映画政策はフィルムの生産状態が悪いために根本的な阻害を受けている。
 映画製作会社は一社の最低量七〇万フィートの三
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