と類型的な生活にその日その日を送る女、其処から生れる芸術も自然、型の中で反省し得られる程度にしか出来ません。従って生活感情の真髄が狭い心の中の狭い体験が多い関係から、女性の作り出す創作には本当にユニックなものが乏しい。類型的でなくなる努力、淡泊さ、見栄え等を本当のものにする精進、性の上から来る色々の欠陥と不自由、それから脱出する苦悶――女性は芸術の種を実に沢山持ってはいるが、然しそれを植えつけ、花にすることの困難をもっています。其処に女性として永久的な苦しみがあるのです。[#地付き]〔一九二二年五―六月〕



底本:「宮本百合子全集 第十巻」新日本出版社
   1980(昭和55)年12月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「読売新聞」
   1922(大正11)年5月31日〜6月2日号
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年1月16日作成
青空文庫作成ファイル:
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