切り出す附近の森林はただで貰える。納屋、小舎等はただで貰う。
一、種、肥料などは非常にやすく、政府がくれる。
一、集団農場員の家族で働けない者がある時は(老人、病人等)それは集団農場全体が責任をもって養う。
一、赤軍に入営した後の家族の世話も集団農場がする。
一、仕事の割当によって賃銀を払われる。収穫物の取引は集団農場と国営の生産組合とが直接やるのであるから、だまされる心配をする必要がない。
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 その他に便利は沢山ある。
 集団農場には托児所、共同食堂、クラブなどはつきものとなっている。
 私は、来ていた人に、自分がソヴェト同盟の南の地方を見学旅行したとき或る国営農場で見たいろいろのことを話した。大きいクラブがあって夜そこで農場員と一緒に無料映画を見物した思い出は忘られぬ。農場の広っぱに国立出版所の赤い星で飾った売店があって、本や雑誌をうっている。
 働くばかりではない。文化も高まって来るのがソヴェト同盟の農民の生活である。私は、クリミヤ地方を旅行した時見た農民のための療養院の話もした。海に、面して眺望絶佳なところに床まで大理石ばりの壮大な離宮がある。それが今は
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