、そのたのしみはつくせません。
わたしは出嫌いな性分なのね、それは御想像以上だと思います、ですから、必要がすぎると忽ちじっとしてしまって、その代り、気持よい点滴のように書きたくなって来るのです。どこで暮すにしろ、天気晴朗の朝、俄然婦徳[#「婦徳」に傍点]を発揮するまで、わたしは土いじりと勉強とで過したいと思います。よく
四月十七日
さて、さて。――
この一行の間に、何という変りがあったでしょう。十一日の午後、てっちゃんに会ってから、袋一つもって鷺の宮へゆき十三日は潰されるばかりの電車にのって、あちらからお目にかかりに出ました。
帰って、その晩、あの空襲[自注11]でした。幸その夜うちには、菅谷とその父、よし子の弟、従弟、妹、よし子、わたしという顔ぶれで、この附近の家としては珍しい働き手ぞろいでした。はじめ遠かったのに、いつもここは終りの一時間がピンチね。物見に出ていた男達が壕へかけこんで来て、ソラと出たときはもう裏隣りの有尾さんというところから火の手が出て、次々とうちの左手(門からは右)の一画がやられ、うちはポンプを出しホースの水を物置にジャージャーかけて働きました。いい工合
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