して居りましたが、目下のところ人員増加で、ここで一緒に食事しているし、すこしそれはあとになりましょう。ラジオがここにありますから、ここに臥る方がいいのよ、一々二階からおりて来るよりは。
きのう(十日)は一時間半ほどしか眠らないで体がくにゃくにゃだったけれども、御心配だといけないと思って大苦心をして、田端まで歩いて行きましたところそちらもお休みでした。帰りは、池袋が余りの人で危険ですから大塚まで歩き又田端へ下りたら丁度一機来て、あすこの辺からうちの辺鬼門故首をすくめて歩いていたら何事もなく帰りました、そしたら解除。
きょうは、久しぶりにしずかな日曜日で(二十五日も四日も日曜よ)今、その連中も焼跡片づけに出て居りますしうちは一人でこれを書いて居ります。あの足袋は、たしかに傑作の一つね。材料が全く優秀なのですもの。あれが出来たときには全くうれしく何しろ生れてはじめての作品ですから、我ながらほれぼれと眺めました。同じ色の布で自分の分も裁ってございます。が、まだ縫わず、よ。足袋と下駄の鼻緒とはどうしても自分で縫う必要がおこって居ります。しかしこうして男のやる仕事(家具や荷物)も自分でやらなく
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