に傍点]たちは、人間があかずくり返す破壊と建設を、ただその反覆において一つの愚行だと見て来ました。結果人間は愚かなものだ、という風にね。でも、果してそうなのだろうかと思う方は大したものだと思って。
きょうはもう二十日となりました。早さおどろくばかりね、壕生活を、わたしはすこし張り切って居ります、というのはもとより望むところではありませんし決して永もち出来る風土的条件ではありませんが、それでもそうなったらわたしは自分のこれまでの諸生活の形態から学んだやりかたを十分活かして、最大に快活に健康に堂々とやって見ようと思って。そのときこそわたしは人間はいかに生きるかというキリキリのねうちが知られると思います、厖大な家を、ゴミだらけにしているユリちゃんばかりが、わたしではないのですもの、ねえ。
二月二十六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
二月二十三日
二十四日
二十五日
きのうの吹雪は東京に珍しい光景でした、本当の吹雪で。一尺近い積りかたで庭の雪景は眺めてあきません、二階の庇が重くなったらしくて雨戸が動かなくなったり。
父の亡くなった十一年は二月に入ると大
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