よ。わたしは一息に五時頃まで眠りました。子供たちや友ちゃんのような体の人のためには何よりです。友ちゃんと云えば今度おっしゃっていた本をもって来るのを忘れました、余り急だったので。御免なさい。林町へもよらなかったので。鷺の宮でお握りをこしらえやいてもらって来ました。林町の三組の人々の顔をズラリと並べて考えると、迚も米だけもってあの中に入って行く気になれませんでした。ジャガイモでも持って行かなくては。用もあって鷺の宮やてっちゃんのところ、埼玉で厄介になりました。では又二三日うちに。下で水の音がするわ、風呂らしいから行って見ます。ではね。
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[自注26]九月十五日――十月九日の昼頃、顕治は『デタラスグカエレ、シユクシヤノヨウイアリ』という電報を東京からうけとった。発信人は東京の予防拘禁所にいた同志の一人と、弁護士の連名であった。返電を打つ手続をすると間もなく署長室によびだされた。署長は『君について命令がきた。健康の点もあるし執行停止することになった。』とつげた。そして顕治はその日の午後四時、十二年ぶりで手錠なしではじめて監獄の外に立った。顕治は無期囚として網走へゆくと
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