歎いて居ります、小包がきかないからうけとる方法もややこしくておくれました。本は、行先へ送っておいて、とおっしゃったけれど、ここまで来ていて、本人がいらっしゃらないうちそれが理由で紛失しては残念と思い送りませんでした。明日小包こしらえて送ります。ここからならすぐ出ますから。こんなところにしては珍しいでしょう、うちの門を出て草道を半丁ほどゆくと、赤いポストが立って居ります。これもそこまで入れにゆけばいいのよ。バルザックの「農民」は世田ヶ谷からかりて自分が読もうとしてもうここに来て居りますが「木菟党」はわたしのは千葉で寿に云ってやってお送りさせます。
あっちからも小包はききますから。三冊ずつ本がおよめになるというのは本当にうれしゅうございます。わたしもそちら暮しとなり、本を一ヵ月に三冊ずつ補給するのは、どういう風に行くんでしょう。便利と不便と交※[#二の字点、1−2−22]ね。本がないのが何よりの不便。かりる人もろくにありませんから。今のうち(十二三日に帰ったとき)何とか打ち合わせしておきましょう。本そのものは、やけない北海道にたくさんあるわけだけれど、人間を通して出現するわけだからそこが
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