カデのように七巻半のとぐろで、明日立つということになりました。
わたしは腹が立ってやり切れなくなって、引こんで、ブリュラールをよみはじめました。それからすこし気がしずまってからモンペの紐に芯を入れてしまいました。そして、おべん当にする筈の握り飯を生蕃袋からとり出してたべました、その握り飯は、柏の葉にくるんであります(なかは平凡だけれど)
それから健坊と遊び、又ブリュラールにかえり、さて又帰るべきところへと帰って来てしまった次第です。この頃の旅行って、まるで昔の旅ね、汽車にのる迄は分らないのね、そして、ここの人たちみたいに人まかせな人は、実にたよりないこと夥しいものです。今日の一日がどういう意味をもっているかということをちっとも実感として感じていません。〔中略〕
けさは珍しく八時すぎまでしずかでした、ブンブンが。だもんだからわたしはわざわざ廊下まで出て行って「何か情報が入っていないかしら、飛んでないから」と云ったら「アラ先生大丈夫、こういうこともありますのよ」と瀧川さんが申しました。
ブリュラールはどんな印象でしたろう。一種の書き方ね。自伝を書こうとすると、全く私自分というものに
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