いう工合には行かないのよ。天の配|剤《ザイ》[#「天の配剤」の左に「いかにもむずかしいハイザイね」の注記]はよろしきを得て居ります。輪はそろってまわります。
きょうは、初夏めいた風のややきつい空の美しい日です。庭の芝の先に楓の低い生垣があって、その下は低く、ゆるい起伏ある耕地、森、町の方の煙突、そして三春方面の山並が日光にとけて見えて居ります。(これは東)北側に大きい池があって桜並木越しに嶽《ダケ》の山々が見えて居ります。(アラ、もうお昼休みがすんだのよ。バタバタガーガーがはじまりよ)
今年は天候不順で田も畑も困難が多いようです。きのう、国がジャガイモの花つみをしていました。林町のジャガイモは芽をつんでしまってるのよ、花は咲かないわけでしょう? 淋しいわね、それでもああいうヒヨヒヨのに実をつけるためには芽をつんでしんをとめるのですって。わたしが来る前胡瓜に手をやらなければならなかったのですが時間がなく、うちの連中はおよそそういう人達でないから、胡瓜は困ったことだと思って居りましょう。島田のおいしいうずら豆ね赤っぽいところに斑の入った、あれを蒔いたらよくのびて、これはわたしが手をやっ
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