さんは、なかなか気風のいいところを見込まれると見えて、スミレヤの店からもっと大観音よりの方に春木屋という鳥やがあります、そこの娘さんを獲得して、尾久の近くに世帯をもって居ります。ごたごたしたところだし、実家に遠いし、来てもいい気があるらしいのです。きのう午後細君をよこすということにしておいたのにウーでおじゃんになってしまいました。きょう来るかしら。若い夫婦きりです、伝八さんは電気やさんで放送局の技術試験にパスし、小僧さんから仕上げたにしてはしっかりものでしょう、さらりとした気質です。わたしは、これで案外遠慮をする方だから、他人が一緒に暮すのも、というところもありますけれども、昨今は不用心と義理(隣組)とで、一人ではやれません。このあたりにさえ小供を手先に使うドロがいるのよ、三段構え位で、やるのですって。子供、不良夫婦、ドロと。うちはいざと云うとき迚も壕へもちこめないから日頃から何かしまっておきますし、私一人で、出かけるときは暖い用意のキモノだの、こうして書く道具の入った袋だの皆壕へしまって出かけるのよ、そしておばあさん、娘、孫息子と三匹の犬に、タノンダゾヨ、と出かけます。心元ない仕儀と
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