逞しく左右に張って、朝の日と夕べの月とに向って居り、梢は空にひいって、星を掃きます。鬱蒼とした枝々に鳥どもは塒を見出し、根の下草には、決してこの樹をはなれない一本のすいかつらも茂って居ります。樫は壮年の美に溢れるばかりです。すこやかな若木であったその樫は、この地上の誇として堂々たる壮年に達し、自然と人間をよろこばせます。ジュピターという神を、ギリシア人は意地わるもする神として考えました。自然力は横溢して、人間の都合をふみにじりもするからなのでしょう。
 ところでこの樫を、天なる神は非常にいつくしみよみしているにかかわらず、折々|霹靂《へきれき》とともに、おそろしい焔の閃光がその梢や枝におちかかります。その光景のすさまじさは、あわやその火の中に樫も根元からやかれたかと思うばかりです。しかし、雲が去り、風がやわらかく流れて煙を払ったとき、見れば樫は見事にその枝々をひろげてやっぱり堂々と立って居ります。只よくみると、一つの霹靂を耐え経るごとに、樫の枝と幹とは次第次第に勁さを増し、樹皮の創さえその成熟の美観を加えるばかりです。自然神は、その天性によって、いつくしみ、抱擁しようと欲するときにも、
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