一緒に送ります。
今午後二時、九十九度です。大きい大きい埃及《エジプト》人のウチワで煽いで上げたいと思います。
七月二十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
七月二十三日 日曜日
今午後の二時すぎ。わたしは珍しくのんびりして食堂のテーブルでこれをかきはじめました。こうやって手紙かくときは、いつもガタガタ連隊は出かけて居りません。その上、きのうから手伝いが来ました。樋熊さんという名よ。どこかの樋のところに熊が出て、その樋のそばに住んでいた祖先の末ででもあるのでしょう。トーテムのような名ね。台所のあれこれのひきうけ手があると、こうもちがうかとおどろきます。わたしはもうピンチだったの。十四日以後十六七日ひどく暑うございましたろう? あれでピンチになったところへ先ず咲が来て、その人が来て、わたしは昨夜は八時すぎ、就床いたしました。そして例により十二時間眠りました。それに昨夜は涼しくて、汗かかず眠れ、きょうは大分もりかえしました。
そちらいかがな工合でしょう、おなかの方は。暑いところ、不如意一層で御苦労さまです。うまく納った状況でつづいて居りましょうか。あっちこっちの
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