なりたいといえば、ノミ騒動。いいあんばいにやっと退治に成功したらしくて、昨夜あたりのうのうでした。ノミのいない床によこになる心地よさ。騒ぎという字をよくみると、馬に蚤がたかったところね。これじゃわたしもいやなわけだと、ひとり笑いいたします。私のよこに蚤をたからしたら、字にもならないほどのさわぎのわけよ、ね。お察し下さい。
この原因がチンなのよ。この間、吠えつかれてチンが八百やのキャベジ籠の間で腰ぬけになって、思わず抱き上げたと話したでしょう? そもそもあれが原因でした。ノミの方は、そんなこころなんか我不関で、得たりとたかって来たのでした。ひどかったこと! 以来、チンの可愛さとノミのこわさはきびしく別で、めったに体をすりつけてもらいません。チンは訝しそうよ。どういう工合なのかナという風です。
ガンサーの本、ガンジーの伝のところ、面白くガンジーの自伝というものをよみたいと思います。聖書的率直さと天真爛漫さだそうです。ガンジーが、肉体の欲望を支配する力を得ようとしていろいろ努力して、四十年来成功しているそうですが、このひとはトルストイのように、自分の目的達成の困難さを、女のせいにしていか
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