五月二十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
五月二十三日
十九日づけのお手紙土曜(昨日)頂きました。お心くばりいろいろとありがとう。本当に、来ないようとおっしゃったらヒョコリといやに熱心な顔を差出したから苦笑ものでいらしたでしょう。
私は目下大したものもちで、十五日からつづけて三つものお手紙をためこんで眺めて、あっちこっちくりかえしてよんでいる次第です。
まず十五日の分からね。マホー瓶の件。もちかえりましたが大したこわれかたね、グザグザね、国男に話したら、キット大きな音がしたんだろうと云っていました。そう?
マホー瓶は真空装置がある瓶を入れるのだからビールビンではどうかということです。心当りのところに(専門店)きいてみます。うちにあるのは、よくアイスクリームを一寸買ってかえったりするときの、籐のザルに入って、いきなりキルクせんの、テラテラツルツルしたものなのよ。籐のザルをぬいたら立ってもいられない代物なのよ、それでもいいでしょうか、よかったらお届けいたします、御返事を、どうぞ。
『結核殊に肺結核』『文芸』と一緒に送りました。掛ぶとんカバーなしで、夏ぶとん
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