くて残念なことでした。今度は、招かざるお迎えが来たとき、すぐ寿江子にどこからどういうものをとってどうしてとたのみ、それがすぐ分るだけ大人になっていてくれてましでした。
こちらの生活はなかなか入費がかかります。四倍の入費ということはここにいても同じにひびいて、家へわたす分、雇人の心づけ。ペンさんの月給、本代、薬代、吉凶その他の臨時で、お送りする三倍四倍になります。自分が病気のため知人が心配していろいろ送ってくれれば、やはりそのままにはすまずですし。それもやや一段落の形ですから、その範囲で暮せる温泉へゆきもう一息、この眼のチラチラも直し、疲れやすさも直したく思います。やっとこの位の字がかけてみると、眼のチラチラは却って一層苦痛です、スーッと楽にはっきりすきとおって見えたらどんなにさっぱりするでしょうと思って。一日に二時間でもいいからね。もし温泉にゆくとしてペンさんにはやはり一週一度来てもらって二人の本さがしの用事、送る用事、その他事務上のことをして貰います。現在、うちの人たちは皆半病人で、寿江子はこの間私の為に自分の健康までそこね、それで今も苦しむのは自分だけだという心持があって、そちら
前へ
次へ
全440ページ中77ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング