、やっと一冊手に入るという次第で心細いものです。改造の営養読本、この前ガタガタ本を整理したとき、まざり込んでなくなっているのだと思います。私のいない間に二百冊ほど手放したし。あとから昨年買った日本評論社版のはあります。改造のは薄黄色の表紙でしたが。ほかのひとの本を一緒になくしては居りませんから、それは大丈夫です。
私の体も段々癒って来るにつけ、癒る過程に起って来るいろいろな様子をみて、我ながらひどかったことを感じなおしている風です。字はかく方は、どうしても自分で書かなければならないとなると、この位はかけるようになりました。チラチラマクマクをとおしてですが。春になって変化が激しい故かちょいちょい故障が出て居りますし、実際眩しくて外を歩きにくいけれどもしずかな気まかせに歩ける田舎の木下道でも、のんきに歩けたら、体全体の調子がぐっとましになって、秋までには眼もいくらかよくなるのではなかろうかと思います。ペーヴしてある道は真白くハレーションして閉口だし、混雑はこの頃言語道断だし、空からの到来物のことだけでなしに、田舎へゆきたい心持です。後者のことは物を書く人間に生れて来て、東京がそういう経験
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