大して好感を持てませんでした。いろんな人があるものね、はじめ手紙よこしたから戦地に居る人と思い、志賀さんなんかも返事したのね。
 肝臓はすっかりおさまって居ります。
 風邪をどうぞこれからもおひきにならない様に。

 三月二十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 絵はがき)〕

 六日付のお手紙、今日(二十二日)いただきました。珍らしく手間どりました。私が先週の日曜頃出した書留の手紙はごらんいただいたでしょうか。本のこととりはからいます。隆治さんの方へはまだ小包を受付けないので語学の本だけ巻いて送りました。それさえ書留は受けませんでした。袷着物、羽織、合シャツ上下、お送りします。『〓世界地図』やっと買えました。『世界大戦とその戦略』古本でみつけていれました。『農民離村の実証的研究』と三冊お送りします。いずれ別便で。

 三月二十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 封書)〕

 ゆっくりほかのこととまぜて申しあげようと思っていたけれど、ペンさんが来てくれているので一筆。
 空からの御光来については、どこでもまるで合理的な準備は出来ず、それは個人達の怠慢というよりも、
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