ぐさめてやれないところできこえているようです。更に更に苦く、更につめたく涙は流れるでしょう。不幸になりたくない故に、全力をつくし迎合し、自分の生涯を歪めたあげく、迚もやってゆけないことになったとして、どうでしょう。
この間の随筆集の中に十三年に書かれたもので、単純も複雑もくそくらえという気になっている。自分はこれまでひとに可愛がられて来た、それが侮蔑として思いかえされる、というようなところがあったでしょう? 短いがおそろしい文章であると思ってよみました。
三十日(十月)に栄さんのところへ一寸より、原稿紙とインクかりて行った由。わけも一言「くれない」のつづきと話して。しかし「くれない」のつづきではないのです、質がちがう。馬鹿なこと(男の側)にしろ、あのときは一つ通ったものがあり、女の側に真摯な向上の欲望がありました。今は女のひとの中にもひどいすさみがあり、それを癒し立て直るのは実に大事業です。
主人は大あわてで(そうでしょう、あのひとをおとりに金を借りたおして、月小遣だけ五百円いると会う人毎にふいていたのだから)下らない出入のひとに喋りちらしているのに、卯女の父さんや私には、栄さん
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