。少くともこの位の群像はあり得るわけです。この間の手紙で云っていた部分は、飛火した大火事の口火めいた性質のものだったのですね。伸子と作者との間には前篇になかった大きい距離があります。中篇的作品の集積とはしないで、はっきり長篇の構成をもってかいてみましょうね。
「伸子」は建てましの時を予測して柱(骨組)を建物の外側に出したまま歳月を経た建築物のようなものですから。テーマは終曲を奏していないのですもの、本質的にね。おっしゃっていたとおりです。しかしそれは分っていて、分らなかったのね。(かかなかったところを見ると)
 鳥籠のあとへ来るのは、針金のかごではないがやはり一種のかごで、しかも其はまとまった形をととのえていず、歪みそのものが語っているものの多い事情です。
 伸子が小さいエゴイスティックな生活防衛の生きかたに堪えないように、伸子はその空虚な女でも男でもないような事情に耐えなかったのは、追求される価値をもっています。女の歴史の青鞜時代とその後の時代との格闘でもあります。テーマはここにあるでしょう。「青鞜時代」の悲劇が描かれるというわけにもなります。その時代には属していないが、まだ自身を発
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