いる様子です。結核性の。赤坊がいるから私は大いに気にしていますが母親の感情は一層微妙ですから注意をうながすにしても方法がデリケートです。いやがってやかましく云うと思いがちですから。泰子は可哀想だし咲も可哀想ね。きょうブドー糖の注射をしました。食餌がいけないからよ。
 さて、私は昨夜久しぶりでほんとにいい心持となり楽になって、ひどい汗にも苦しまず眠りました。あなたはやや体の不安がすぎたようにふっくりと伸々と臥ていらしたわね、どんなにうれしかったでしょう。疲れも当然見えますが、それはこわいようなものでありません。熱がやたらに上らなかったのは、もう一つの病気のため、万々歳です。
 こんどは、私も一緒に体じゅうがどうかなったようになって、昨日までは本当に妙でした。神経が緊張してしまって、その疲れで夜が苦しかったのよ。病的に汗が出たりして。きのうは、咲枝は子供の心配がとれないのだから、「現金で御免ね」と云い乍らしんからほっとして上機嫌な晩をすごしました。
 この何年かの間に、あなたは随分ひどい病気を次々となさり、どうにかそれに克って来ていらっしゃるのは、考えればまことに大したことです。先ず猩紅熱
前へ 次へ
全440ページ中249ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング