、かえって来ました。御安心下さい。そして、よかった、と思って居ります。
 中村ムラ夫などという人が詮衡委員で、やいやい集めた原稿を御詮衡下さりその上で収録をきめるのだそうです。私は大した識見ももたないものではあるが、ムラオ先生に点をつけてもらったり、のせるの、のせないの、と云われる作家ではありません。文学の点ではないのですもの。おっしゃるとおりでへこたれます、本当にその通りなんですもの。これも極めて、いい経験で、私もすこし会得いたしました。実際の場合として。とりかえしてすっとしました。丁寧に、意にみたないから折入っておかえし下さるように願います、と云ったのですから失礼でもございますまい。
 きょうはすこし乾燥して居りますね。わたしの汗のひどさと云ったら! でもねあせはちっともかかず、苦しくて眠れないという疲れかたはいたしません。ネールの自叙伝上巻が買えました。もうすこし読み進んだらきっと面白いでしょう、全体の動きの前に自身をかいているのですが、一九〇七年頃イギリスにいた(ハーローやケインブリッジ)印度学生というものの生活その他もうすこし形象化されていると、なかなか色彩もあり、大したもの
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