った当坐、太郎は馴れずお客のように思っていたのよ。それから病気して、病人は子供が気味わるいらしく敬遠していました。それからすこし治り、一緒の御飯たべるようになり、Tが全く無規律な生活の感情の中で育っているのを見て、私はひどく不安になりました。好きなこと云ってごねるのよ。咲はああいう性格ですから愛情一本で世の中へ男として出た場合という大局は考えにくいのね。目の前なの。それで国も自分を支配する能力はちっとも発育させず成長して、やっと四十越して世間に出てすこしずつ耐忍も出て来た有様です。自分の心を自分で持てない人間を私は一番おそれます、男も、女も。一番箸にも棒にもかからないものです。
そこで暫く私はなかなか厳格なおばちゃんとなったの。国男がくってかかるのよ。可笑しいものね。
それの後にも最もいい段階が来ました。その誘因はあなたにあるのよ、それでこの話もいくらかあなたにも面白いだろうと思うのですけれど。二月末頃でしたか、私たちの経済のやりくりのことについて長い手紙かいたでしょう? あのとき私は強く強く感じたことが一つありました。それはあなたのお手紙に、一つも御自分の便利とか好都合のためとか
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