ていません。それでもやっぱりこうして私は書きます。
芳しく あたたかく
夢にあなたが舞い下りた
恢復期の寝床は白く
その純白さは
朝日にかぎろい 燃ゆるばかり。
昔 天使が
信心ぶかい乙女を訪れてとび去った
跡は
金色羽毛の一ひらで
それと知れたと
いうはなし
翔び去ったあとはどこにもなくて
そこに
もう
いない あなた
虹たつばかり真白き床に
醒めてのこれる冬の薔薇。
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[自注2]明月詩集――ながい年月の間には、いくつもこういう詩集がやりとりされた。書いたものと書かれたものとの間にだけ発行された詩集。
[#ここで字下げ終わり]
一月二十日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 封書)〕
今日は寿江子さんが用足しに出かける処を急に取やめとなったので、二階に来て、私は思わぬ幸にめぐりあったと云うわけです。
十三日から十五、十八と、なかなかたっぷりした戴物で本当にありがとう。まず十三日のから。そちらに飴玉とユタンポが有ってまあまあでした。成る程昨今では袋へ入れる鉄くずがないわけですもの
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