一段落後は私もやっと安心して、人間並の疲れかたになり、即チ何をするのもいやと云う風になりました。ポーッとしてねどこばかり恋しがっていますからどうぞ御安心下さい。今迄はこんな気のゆるんだくたびれかたの出来ない程度にしか、神経もよくなっていなかったものと見えます。タカちゃんからお菓子を造らして送ってくれました。徳山の菓子やでしょう。今日はテッちゃんが見えました。みんなからよろしく。
一月七日 〔巣鴨拘置所の宮本顕治宛 駒込林町より(代筆 封書)〕
一月七日
暮の二十六、七日はうち中、今にも泰子が駄目になるかというさわぎでしたがそれでも幸い持ち直し、二十八日には寿江子がそちらへ行けました。二十八日には色々世帯じみた必要事について寿江子が伺ってきたので私にとっては一層よい年末の贈物で大晦日や三※[#濁点付き小書き片仮名カ、7−15]日は全くのんびり致しました。
相変らずかたいお餅を上りましたか。今年はそれもなかったでしょうか。うちは菓子なしの正月のところ、多賀ちゃんのお心入れのまがい[#「まがい」に傍点]カステラで思いがけずテッちゃんにもお裾分けしました。
去年は咲枝のお産をひか
前へ
次へ
全440ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング