ら一安心です。然し創造的な仕事は体力が消耗されるので、それと戦うのがこの頃の食物では一仕事で、しかも私のように死んだことがあると云うのでもないから、つい丈夫な身に扱われて折々閉口しています。
八月三十日 (消印)〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 コロー筆「樹陰」(一)[#「(一)」は縦中横]、柚木久太筆「八甲田の一角」(二)[#「(二)」は縦中横]の絵はがき)〕
(一)[#「(一)」は縦中横]二十六日附の御本の要件について。一、御注文の本はどれも品切でこれからも心掛けておいて、手に入り次第お送りします。「結核」はお医者様が持って居られるかも知れませんから、お聞きしてみます。フランスのは『昔がたり』が一冊だけありました。先、英訳で読んだ本は十年前に売った本箱に入って居ました。サンドはあるだけお送りしました(六冊)本のないのには実に閉口です。冨山房文庫は殆んど廃刊同様の有様です。手紙は又別に。
(二)[#「(二)」は縦中横]本の話の続き、今朝はこういう字を書く方のペンが可愛い花模様の着物で現われたので、早速電話もかけられましたが、どれもなかったのは残念。岩波文庫に新しく
前へ
次へ
全137ページ中23ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング