ルザックは家に全集が一冊もなくて、何とかして手に入れたい心持でいた処でした。どんな都合にゆくでしょうか。私も「幻滅」は是非よみたくて居りますが、河出につとめている人にきいて、算段してもらいましょう。スタンダールは「赤と黒」は不許でした。「パルムの僧院」「恋愛論」等、ちりぢりにありますが、選集は家には有りません。サンドのものは割合に訳されているものは集っています。これから先へお送りしましょう。フランスは、あんまり有りません。昔読んで集める気がなかったものだから。「支那イソップ」が家の本棚にあるそうですが、昨今はその本棚もだいぶいろいろなことで掻き廻されているので一層見当が付きませんが、調べてもらって見ましょう。「シンプル」の下巻まで待たない方がよかろうと云う話には同感です。
それからね、栗林さんのお金のことを読んでいた人は「アラッ」と云って頭のてっぺんを押えました。「こりゃあ」と云って目玉をおおいに動かして、まだ送ってなかったと云うことでした。今日送ります。これには何でも言いわけがいるのだそうで、以下の如き次第です。(どっちみち送らなかったのですから、言いわけは止めにします。スエコ)
前へ
次へ
全137ページ中21ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング