たのですが、よくよく考えて、もう余りつかれないようにしようと決心したので、この二三日は幾分ましです。
ペンさんはこの頃は一週一度にして居ります。「自分の生活とまるで関係がないから」とはっきり云われると私は切ないからもうこういう法式で自分がかくことにしました、あなたにだけは。用足し手紙は仕方がないが。
寿江子の体いろいろありがとう。
こうやってチラチラと定まらない視線の間から、段々に少しずつ字も書いて行くのがいいのでしょう。全く視力の恢復の手間どるのは苦痛となって来ました。本はよめません。知っている字をこうやって半ば手の調子にたよって書くことの方が出来るのね、使う字もわかっているし。この頃は少し頭の疲れもしずまって来て、注意もやや集注するようになったので、眼のおくれは一層切実に感じられることとなりました。
近日うちにお金もお送り致します。森長さんや九段は例年通りでよろしいでしょう?
もう一度は年内にかけますね、或は二度? この一つ二つの手紙の中で今年出来たものをみんなおみせして新年は新しい諧調をもってはじめたいと思います。風邪はお気をつけになって。
底本:「宮本百合子全集
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