まで本当のことがわかるでしょう、きっと通[#「通」に傍点]なのね。通[#「通」に傍点]というものは要するにその道のガクヤ話や癖や迷信や伝統を知り、それに屈伏している評価者ですから。通[#「通」に傍点]は素人おどしにきくけれど。
 こんなことをかいていると、そして、この間一寸『新しきシベリアを横切る』をよみかえしていたときも、ああして暮した時代もっともっと勉強したかったとしみじみ残念です。
 生活、特に外国生活での対手というものは大きい意味があります、ほんとうにそこに在るものを知りたい、と思っての生活態度と、主我的な態度とでは得るものが実にちがいますもの。ほんとうにそこに在るものを知りたいという私の気持は、あの時分まだひよわくて、気に入るとか入らないとかいう気分で支配されている傍の性格とはっきり対立して、独自の線を描き出してゆくというところ迄育っていなかったのね。パリや何かからかえって、「広場」でああいう風に、自然発生ながらはっきりはしたのだけれど。もっともっといろいろ書けもしたのに、と。日々の空気がもっと知的なら。まだまだ書きたいことでのこっていることがあります。でも、それもよかったか
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