アトリエから出ている画の本をすこしまとめて買い、茶の間におき折々見ようと考えます。
 きょうの気持の工合では月曜日に行ってしまいそうよ。

 二月十七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 二月十七日  第十一信
 きょうはすこし虫がおこって、さっきパラパラと雨の音がしはじめたらひどくそちらへ行きたくなりました。でも、ごちゃごちゃ仕事を片づけなくてはいけないし、私はうちにいた方がいい体の調子だし、それで机の前にねばって居ります。昨夜寿江子と目白の通りを散歩して、この間うちから云っていた今年の十三日のために絵の本買うと云っていた、それを新しい古で十二冊ほど買い 8.60 也、チューリップの立派なの一輪、黄色い奇麗なラッパ水仙二本計 .90 買って、きょうは机の上にチューリップを、ベッドの裾の柱にこのダフォディルを活け、大変さっぱりとした眺めです。朝からひとしきり片づけ、一寸一服にこれを。
 チューリップというものはこの位になると、気品とゆたかさがあります、葉の旺盛な感じも面白くて。オランダの野原に一杯咲くチューリップは、今年もやっぱり咲いているのでしょうね。
 ゆうべ、かってか
前へ 次へ
全471ページ中87ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング