かげ」の入る)ものとして描かれてこそ、本当に面白い作品です。歴史の雄大さのこもったものです、書いておきたいわね。それは作家としての義務であるとも思います。必ずいつか時があるでしょう。
 お使いに行って云々のところ、そうね。このことの心理は、瑛子のつくりだした雰囲気の微妙な影響があるのね。感受性のつよい敏感な早熟な女の子が、母であり又同性であるという錯綜した刺戟を蒙ってゆく過程ね。この一部の題材について云ってもやはり描かれ足りていません。もっともっと立体的なのだから、少女の心理の要素は。学校のつまらなさ、その他も。文房堂で原稿紙を買って、亢奮した心持で街をフラフラ歩いたりした心持。こういう部分を非常に高い調子で描ければ、それとして興味ふかい作品でしょう。そこにやはり時代があります。その頃そうやってフラついたって、食べるものの店へ入るなどということは思いもかけない一般であったし、ましてシネマへ入るなどということはなかった、そういう一般で、そういう少女の苦悩が(みたされない知識慾や情感や)それなり文学へ読書へ方向づけられて行き得たこと。やはり今日には期待出来ないかもしれませんね。こんなに書い
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