の間うち生れた男の子たち佐藤さんのは稲ちゃんが行一郎とつけたの、小説っぽいでしょう、もう一人は伸一郎(これはあのメチニコフくれた夫妻)何太郎もわるくないかもしれないことね。でも何だか男の子の名は変に見当がつかない。重吉でもないでしょうしね。吉はお父さんのお名前にもあったから、何吉郎がいいかもしれませんね。それがいいかもしれないわ、孫だから。女の子なんか余りその名からキリョウを考えるようなのはどっちみちよくないから。男の子もサラリとしたのが結構ね。間へ治を入れて郎をつけるという法も在るわけですが。宮本何吉郎と何治郎というのと比べると、宮本何治郎の方が温和ね。何吉郎には圭角があって。又いまにいくつもの名を見つけ出さなければなりませんからそのついでにいろいろ考えましょう。
 小説の名を見つけるとき、いろいろ名簿みたりして何百という名の中で、ピッタリと感じをとらえるのは実にすくないものです。バルザックだったか誰だか人の名を見つけるのに街を歩きまわったということもよくわかるわね。
 大晦日までに部屋の道具おきかえてなんて云って居りましたろう? ところが三十一日だって午後まで仕事していてそれどころ
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