ですからという意味で返却されました。何でも鎌倉のホテルの何かをかいたと思います。地図はね、行ったら無いというの。だって私がきのう、と談判してやっと出して来ました。無いことになって居りますと云っていました、どういうわけなのか。だから小売屋の小僧が行ったってないわけね。『女性の言葉』と一緒にお送りいたしました。ついでに十六年版の日露年鑑の内容見本も。
三十日(昨日)はいい天気で、私は朝のうちケーテを(二十二枚)書き終って、『進路』を島田へお送りしたりしてそれから青山へ出かけました。花がどっさりあって、賑やかな様子でした。しかしいつもここへ来てつまらないのは、何しろここは中條家の墓ですからね。戸棚です。ちっとも父のパーソナリティも母の気分もない。ですから来るたびに索然として、来ないでもよかった気になるの。太郎と寿江が来るのを永い間待っていました。しーんと日がよく当って暖いところに花の匂りがかすかに漂っていて、スウィートピイやバラのところに早いこと、もう蜂がかぎつけて来て働いています、それを眺めています。それは何だか父らしい活気とも思える。その勤勉な蜂は。
やがて二人来て、太郎もおじぎして
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