くないようです。百円で子供もちだとキューキューですものね。大学出で或年まではその位らしいわ。
 きょうは曇天ね(十三日)。あしたどんな天気かしら。咲枝の買って来てくれた羽織を着てゆきたいのに。ではね。

 十一月十六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

 十一月十五日  第五十一信。
 今夕方の五時でね、もう雨戸をしめ、机に向い、足はぽかぽかとしていい心持なのよ。元気のあるいい心持です。どうしてそうかしらとふっと考えたら、寿江子がカゼで、きのうもきょうもブカジャンがないのです。だからなのねえ。力のたまったいい心持です。こんなに気分ちがうかと思うと、何だかおかしい。勿論寿江子の風邪ひきは可哀そうですが。でも、ラジオと音楽とでうちは大抵の頭は散漫になってしまうわ。めいめいそれぞれの音係りは、それぞれの道からきているのですけれども。ラジオはラジオとしての波をだけ。音楽のひとは自分の専門――目下のところハーモニーの勉強などから。それらのどっちも、普通人の音の感覚できいているのは私や太郎やああちゃんよ。あわれ、あわれ。
 この頃時々、目白での或ときの心持、感情を思いおこします。その
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