ンのマドンナという絵を見てね、どうしてもしんからすきになれませんでした。あの時代として大した技術であり美ではあると分るが、すきなものではなくてむしろきらいでした。しかしラファエルはきらいと云い切る人はないのでね(即ち因習によって)これからは安心してすきでないと云えるから、いいわ。そして、この本が、『発達史』と全くちがう価値をもっているという点はそういうところにあるわけです。いろいろ面白いと思います。ワグナーのことも書いていてね。生活的鼓舞をもつ本というものは、なかなか生きのいいところがあってようございます。(書きかたも半ばごろからずっと落付いて性急な過去と現在のモンタージュがなくなって――歴史はくりかえす式のまちがいがそこにあります――よくなっています)
 いい本教えて下すったお礼を云わなければならないわね。読みかえして見たくお思いにならないかしらと思いました。そこいらの作家と称する人々よりずっと勉強しているということを、本当だと思います。
 今ロシア文学のところに入りかけています。大体は明日じゅうによみあげてしまうのよ。カル※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ァートンの本は神田でさ
前へ 次へ
全471ページ中426ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング