とで急にせわしない思いをしているようです。女のひとも同様ね。美校の卒業生も中学の先生になるか工場へゆくかという風だそうです。
 この妙な紙もこれでおしまいよ。なかを見ないでいそいで買ったらこんな字入り。こんなのを見ると、子供のとき父の事務所用のタイプでいろいろ打って(印刷したのね、考えると)ある紙が珍しくて、それをもち出してつかって、子供が使うと可笑しいと云われてよく意味が分らなかったことを思い出します。そしたら、この間、東北へ行っている娘さんが、大学のいろいろのことつまらながっているのに、大学と押し出した紙つかって書いているのを見て何となく微笑しました。あのひともやっぱりそういう紙を偶然手に入れたのかしら。
 夕方、寿江子へのおはがき。道後のことが書いてあって又行ってみたくなったわ。この夏、海のきらめくのを眺めながら、室積で、すぐ道後に行って見たくなりましたっけが。電車で行くんでしょう?「坊っちゃん」のなかにも、そこいら辺が出ているわね。太郎を今に虹ヶ浜へつれて行って泳ぎを教えようというのが目下のところ私の憧れよ。太郎もたのしみにしています。
 冨美子が学校にいる間だと、あの子が上手
前へ 次へ
全471ページ中400ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング