か、やはりそこにあふれているのは優しい暖かさよ。ちっともさむくないわ。代表的なのは「春のある冬」という序詩ね。覚えていらっしゃるでしょう?
あなたの体をつつむ毛布からこういう詩の話になるというのも、きっと何かふかいつながりがあるのかもしれないわ。とにかく私は、今あなたを寒くないようにと大変思っているからなのね。
十月二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
十月二日 第四十一信
太郎がわきのベッドに入って、山羊の文鎮をもってねています。お風呂のぬるいのに入って遊んで、さむくなって、二階へくっついて来てベッドへ入っているのよ。
ところで、きのうの夜の風はひどうございましたね。夜中に幾度も目をさまして、ああこの風がガラス一重に吹き当るときはどんなだろうと思いました。ガラス越しのうすら明りだの、そこに揺れるまとまりないかげだの音だの、そういうものを想像いたしました。目白だったらこわかったろうと思いました。あすこは南が実にふきつけるのよ。
三十米の風速だったのね。先年、てっちゃんのうちの羽目がとばされたりしたときは四十米以上ありました。山陽線又不通よ。そして大分で
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