動物的でなくなれば。或はそのことを自分で心づけば。
ヘミングウェイの小説は、あれこれ濛々的文字の氾濫の折から実に快うございました。
隆治さんこちらへ珍しく二枚つづきのハガキくれました。休み日でレコードを戦友がかけているそのわきで書いているのですって。七月二十六日に島田から書いた長い手紙への返事よ。きっとあんなに細かく書いてあるのにペラリと一枚ではわるいと思ったのね。この間あなたのおくりものやいろいろよかったと思います。では明日。きょうは乾いた天気になりました。
九月十日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 本郷区林町二一より(封書)〕
九月十日 第三十八信
随分久しい御無沙汰になりました。この前は八月二十八日に書いたきり。あとはパタパタさわぎで、あなたもくしゃみが出るほど埃をおかぶりになったというわけです。
きょうは私としてはいい雨よ。やっといくらか落付きましたから。自分の机をおくところだけ、どうやら埃の中から島をこしらえて、となりの室や廊下にはまだがらくたの山をのこしながら、エイ、と今日はすこしものを書いてさっき送り出したところです。
八月二十九日に林町へ行って、さて、とからか
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