、自分の可能性から、家のものにきがねして友達を外へつれ出して夕飯でも一緒にたべるというそういう気分は余り味っていないわけね。ごく若いときから、自分の努力で、こう進もうという方へそのように進んで来たものが、或る時期に、その裏うちとなるいろいろの生活のニュアンスを経験するのは、決してわるいことではないと思えます。一本道に益※[#二の字点、1−2−22]複雑な景観が加り変化が含蓄されるわけで、つまりは柔軟でつよい豊かさを増すことともなってね。悪くないぞとも思っているの。一つずつちがった経験を重ねて、段々自分を甘やかさないで生きる法を学び、人生で大切なものを大切としてゆくようになるということは考えれば愉しいことだわね。生活してゆく人間らしい適応性が、そのようにしてましてゆくということはねうちがあります。生活において、非常に運動神経が鍛えられていて、どんな角度が生じても自身としての均衡の破られない力がつくことは、これからの世界が私たちに求めている資質の一つね。
 ざっとこういうようなわけなの。ポツポツと月の中に荷物を動かします。チクマもまさか、合の手にこんな引越しがはさまっていようとは思って居り
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