みぬくべきなのよ、ね。ジャーナリズムの二三十枚小説の底はぬいていて、自分の足で歩いていいのです。――小説についても――自分の小説について思うことどっさりです。
(こんな紙、あやうくしみそうで字をつい軽くかきます)

 八月十六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 八月十六日  第三十六信
 きのうはタイ風が岡山の方を荒して東京はそれたそうですが、きょうの風は何と野分でしょう。すっかり秋になりました。私はうれしいうれしい心持です。この乾いた工合がどんなに心持よいでしょう。ひとりでにうたをうたうほどいい心持です、暑くはなかったけれど、しめり気がいやで、本当にさっぱりしませんでした。せめてこれからカラリとした初秋がつづけば、私は元気になって毎日うんすうんすと仕事が出来ます。
 この間うち、こまかいものを書きながらちょいちょい小説をよんでいて、大した作品ではなかったけれど、いろいろ得るところがありました。作家のテムペラメントということについて、何となし印象がまとまりました。女の作家、同じアメリカの作家でも、三つの世代がはっきりわかるようですね。ヴィラ・キャーサなんかの世代、バックの
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