られているのですものね。人間として一番平凡になられては閉口ですからね。歴史のひろくゆたかな波が私のようなものをその家族の中に運んで、そのひとが、そういう物語も書いてあるというのは、あとでは随分面白いことだと云えるでしょう。二つの立派な長篇の題材です。一つは都会の中流の歴史。一つは地方の老舗の歴史。大いに私も精進してしかるべしです。本当に私は特にあとの方が書いてみたいと思います。お母さんのいろいろのお話も大変面白いわ。「雑沓」ではじまるのにはその二つの流れを交えて書こうとしていたわけですが、それは無理です。そんな小さいものではないわけですから。いつかいい機会に私は室積へすこし暮したり、野原のこともっとしらべたり、いろいろ自由にあのあたりを跋渉してノートこしらえておきとうございます。天気晴朗な日、それらの小説がつつましくしかし充実して登場することはわるい気持もいたしますまい。
 自分の幅、重さ、みんなその中にぶちこんで活かせるような題材でないと、私はいつも評論より何かくい足りない小説ばかり書いていなくてはならないでしょう。云ってみれば、小さき説の底がぬけているのでしょう。だから思い切って踏
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