要上、年内に一遍行かなければならないでしょう、整理しなくてはならないから。寿江子咲枝はそういう点では実に散漫ですから。あのおばあさんはそうよ、政恒夫人よ。運という名をつけるのね昔のひとは。開成山の家の上段の間の欄間に詩を彫りこんだ板がはめこまれていて、それにはじいさんが開拓した仕事のことが書いてあるようでした。いろいろ近頃になって考えるに、じいさんは晩年志をとげざる気分の鬱積で過したらしいが、自分が初めから青年時代から抱いていた開発事業への情熱も、まさしく来るべき明治の波が、底からその胸底に響いていたからこそだとは思わず、個人的に自己の卓見という風にだけ考えていたのね。だからあの仕事全体を、当時の全体につなげて考えられず、閥のひどい官僚間の生活が与えた苦しみを、すべて感情にうけて苦しんだのですね。じいさんの頃、生れが米沢で長州でなかったということには絶対の差があったのでしょうから。私たちにさえ、もしあのじいさんが長州出であったら必ず大臣になっていた人だと云う人があります。じいさんは生涯そんな妙な「であったらば」ということに煩わされたのね、可哀そうに。その煩いのために、自分の輪廓を却って
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