すが。高山のはぬきに。もうこれはじきでしょう。とらぬ狸の皮算用ということはことに昨今全く論外ですから、一つ出れば、はァ出たかというようなものね。
それからもう一つきょうきいた話。
上り屋敷の電車でずっと行ったところにいい原っぱがあって私が遊びに行ったところ、覚えていらっしゃるでしょう? あすこは風致地区なのです。体に空気が大変よかったの。ですから、折々私の空想の十坪住宅があのあたりに建てられていたのですが、きょうの話では、すぐその奥に宏大な地所が買われて、プロペラーの音でもするわけになって来ました。地べたに近くプロペラーが来ると、空気が猛烈に震動して苦しいのよ、地上にいて。
この間行ったら、武蔵野電車会社が分譲していろんなマッチのような家が出来て居りましたが、そこの人たちは空気がよいということにひかされて、あんな不便なところにも移っているのでしょうね。武蔵野が、そんなに近く実現する変化について全く知らなかったというようなことを考えるのはむずかしいことです。土地を買ったひとはどんな気になるでしょう。
きょうは、大家さんの林さんから植木屋が来て、樹木に寒肥をやりました。年々やること
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