伸子」の終りのところ覚えていらっしゃるかしら)。事務所は今、あのひとのほかには一人しか人がいません。あとは女の子のタイプとお使の青年と。こんど、すこし暇を見て、ゆっくり話してみたいと思いますし、人は自分の専門については本当に熱心でなくては駄目だと思います、生活の中によさがなくなってしまって。一心なところがなくて。益※[#二の字点、1−2−22]行きたくない条件ばかりふえて困ります、本当にそう思うのよ。

 六月九日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 六月九日  第二十八信
 きょうは本ものの暑さですね。ところが天気予報だときょうから小雨よ。でも、当っているかもしれません、雲は薄りかかっていて、だからこんなにあついのかもしれませんから。暑さにせかれて、紺ガスリ二枚と人絹のサラリとしたシャツをお送りいたしました。セルはもうつきましたろう。
 けさ隆治さんからハガキが来て、うれしいお知らせを一つと、上等兵になったことを云って来ました。肩章も、とかいて消してあります、あのひとらしいことね。およろこびのハガキをかきましょう。きっとそちらへも行くわ、ね。
 七日のお手紙、きのういただき
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