d ピープルスというのがあります、シェクスピアなんかこういうところどうだったのでしょう、ふっと思って面白いと思います。文学史の辿られる糸は幾条もあるのですね、尤もそれがあたり前だが。でもシェクスピアの文学のそういう点での時代の性格を誰が語っているでしょう。彼のリアリズムについての探求で、その点にはっきりふれられているのかしら。バルザックについて、最も科学的な研究に立って書かれた本が出るらしい話です。バルザックから何を学ぶかというものを書いたこともあったから楽しみです。私は秋ごろ本にするもののためにこのベリンスキーはこまかく学ぶつもりです。
 二十七日。
 けさになってもまだつかない。うたのようね。けさになってもまだつかない。きっとそれには心がいっぱいつめられているから重いのね、それで時間がかかるのかもしれないわ。
 これはこれで出してしまっていいでしょう? あとの分は又あとの分として。今朝は晴れました。太陽も出はじめました。うちの物干には足袋を乾しました。足袋がなくて大閉口よ。では、ね。

 五月三十日 (消印)〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 五月二十九日  第二十六信

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