ことねえ。手帖出してみると、三日からあとはかいたしるしないわ。何とひどい御無沙汰でしょう。しかも御無沙汰どころか、毎日云わばめっぱりこで、一寸仕事の手がとまると、すぐいろいろ考えて、いくらかクタクタ気味だのに。そういう風になるのね。正気にかえりっぱなしではないのね。余震が相当なものね、こうしてみると。大変頭疲れた気がします、もう丁度一ヵ月経ちます。
さて、面白いようなおかしいような心持についての物語を一つおきかせいたしましょう。家のこと、私はなかなか心をきめないでしょう? ひどい愚図つきかたなのよ、ねえ。寸刻の休みなく愚図ついているのだから、疲れもしようというものです。昨夜、ひどい雨が宵のくち降って、十一時すぎにははれました。私はお恭ちゃんをつれて林町からかえって来ました。開成山のおけさというばあさま、(孫の口説かいたでしょう? あのばっぱちゃんよ)が急に夜行でかえるというのでね、もう年だからといそいで土産に下駄を気ばってやって、ザンザ降りの中を持って行ってやったの。一人ではさすがにいやで、二人づれで。
すっかり濡れた足袋をはいてかえって、ゆたんぷ入れていくらか暖めて眠りかけながら
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