しょう。ところが、余り豪雨の中を強行してフーとなって書くどころではなかった次第です。平塚はつまらないのよ。今度から一緒に出て、国府津へ行っていて、寿江子もそっちへかえって一晩とまる位のことをしようということになりました。せいぜい一月に一度でしょうね。
 平塚は市です。そして、そこの旅館は皆協定して、料理を配給にしているのよ。その本もとがその養生館といううちです。面白いわねえ、養生館というような名のつけかた。母の家の従兄の一人に、体をよわくしてアメリカからかえって来て小田原に宿屋をひらいて、そこで暮した人がありました。それが、やっぱり養生館よ。私が十四五ぐらいのときよく冬そこへちょいと行きました。きたない小さい家だったけれど、今どうなっているかしら。白秋が小田原にいた時分とかに、その世話でお嫁さんが来たとか云々で、却って何となし行きません。親類のひとのやっている宿屋なんて妙ね、却って、さっぱりしなくてね。
 きょうの夜具は、ものの哀れをさそわれました。ひどいのねえ。あなたの布団は毎年必ず新しくしているのよ。綿を入れかえ縫い直しして。今年のようになったのは初めてでした。メリンスは、丈夫なものではないけれどああはなりませんでした。十月から四月まで一枚では、これからは駄目かもしれません。間で一枚とりかえる方がいいけれど、間がこまりますね。本当に困ると思うわ。だって、私が一生懸命心がけたってスフはスフというわけでね。
 緑郎はちょっとお話したようなわけで、今は朝日の仕事していくらかお金を貰っているでしょう。そして、やはりいられるだけいる方針だそうです、それがいいわ。この間写真みたときはでっぷりしてどういうことなのかと思ったけれど、なかなか沈着によくやっているらしくてうれしいと思います、せめて緑郎一人ぐらい何ものかであっていいわ。
 二十二日のお手紙の返事は、土曜のを見てからということですが、私が悄気こんでいたのはね、ものをキチンとする方がいいという注文についてではなくてね。若しすぐ片づかないようだったらそちらに行くのを、それにつれて延期するのだ、ということだけよ。そうだとすれば、私はそれは困ると思って、せっせと済まそうとするにきまって居て、私の心持がそう働く予想の上でしか効力の生じない方法だから、それでツマラーナクなってしまったわけでした。どうして、どんな人でも、私にとって一
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