二十九日あって一日たすかりますが、小説がのろくて困ったものです。
 うちでは多賀ちゃんの風邪がやっとなおりました。それでもまだ遠くへ出かけたりする気にならない由です。私は、さては東京に当ったと云って笑いました、富ちゃんのお嫁は大体きまりそうです。きまったら割合早く式をあげるでしょう。お祝いには、腹をしめて働くように、バックルのすこしいいのをあげようと思います。20[#「20」は縦中横]前後の。いかがでしょう、もし何かいいお思いつきがあったらお教え下さい。バックルはいつだったかデパートで多賀ちゃんと見て、「兄ちゃんこんなのよろこぶ」と云ったものだから。野原のおばさまもさぞホクホクでしょうね。私たちが、先の女のひとのことを、そのことだけやかましく云ったって駄目で、生活全体が変って来れば、と云っていたその通りだと御感服の由です。
 多賀ちゃんの方も、よくききませんが、Kという人に、はっきりといきさつを切った手紙、島田のお母さん宛の手紙と同封して送ったようです。サバサバしていると云われると、何だか却って私の方が苦しいようでもありますが、でも、生活のひろい視野が出来て、考えかたがちがったところも
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