いいけれど、もし別のでしたら袷、きもの、羽織送って下さい。ちゃんとしておきたいから。いろいろと心せわしいようなところもあります。
今年は創作の実のり多い年となりそうというよろこびが、このお手紙にもかかれています。私はどんなにそれを願っているでしょう、どんなにか。病気になんかかかりたくない心持分って下さるでしょう? かかってしまえば最善をつくすだけですが。せめて今年は本当に無病息災でと思います。
つるさんの本。いろいろそうです。石坂の「若い人」の評ね、あんなのは、あのひとの弱点に立ってかかれているのです、当時の心理として。あの文章のよって立っている心理のありようについては、あの当時その原因をいねちゃんも私ももとより知る前だったから、何だか変だと二人で不賛意を表現したのでした。そういうこともやはり微妙にうつっています。けれどもあれが精一杯よ。キリキリよ。力量(箇人の)のことでは勿論多く云えますが、その枠の形の大きさでは一杯よ。
あれで、余り骨を折ったから、はやりかぜにかかるだろうと云っているほどですもの、あたりで。空気のわるさは旱天と云うとこんなかというばかりですものね。
二月六日
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